痛信vol．117「エコーガイド硬膜外ブロックについて」、「新しい睡眠薬「オレキシン受容体拮抗薬について」
「エコーガイド硬膜外ブロックについて」
1.エコーガイド硬膜外ブロックとは？
近年、エコー（超音波）を見ながら硬膜外ブロックを行うエコーガイド硬膜外ブロックが大きな注目を浴びています。超音波の画像解像度の向上により、エコーで神経も抽出できるようになったのをきっかけに、超音波ガイド下ブロック注射が疼痛管理の一つとして、最近、急速に普及しています。しかし、この技術を習得しているペインクリニックはまだまだ少数派で、当院では超音波ガイド硬膜外ブロックという最先端技術を取り入れています。
1.エコーガイド硬膜外ブロックとは？
超音波にて、神経・血管・筋肉・関節などを、リアルタイムに画像で確認しながら行う“硬膜外ブロック”のことです。針先や薬液の拡がりも確認できるので目的とする硬膜外腔やその周囲に正確に薬液を注入することが可能です。超音波（エコー）でリアルタイムに神経や薬剤の広がりを確認しながら、硬膜外腔に局所麻酔薬やステロイドを注射することにより、針の刺入位置や薬剤の拡散を確認できるため、より神経の炎症を抑えて、より痛みを軽減し、より安全性と効果を高めることができる治療法です。
2.従来のブロック注射との比較
2.従来のブロック注射との比較
従来の硬膜外ブロックは骨や筋肉を目印に体の特定の位置からアプローチするランドマーク法（医師の高度な知識や技術と豊富な経験に基づく方法で当院では安心して受けて頂けます）によるもので、エコーに比べ短時間で施行できますが、エコーを併用することで、さらに安全にさらに効果的になります。
3.エコーを使用することのメリット
3.エコーを使用することのメリット
�．譽鵐肇殴鵑任錣�らない血管・神経・関節・筋肉・腱が診れる
�∪�刺針の位置や局所麻酔薬の拡がりが客観的にわかる
�６表衙秧賁瑤侶豐標軛軻�による局麻中毒の危険性が少ない
�た牲仟蚕�のリスクが軽減し効果のあるブロックが可能
�ゥ譽鵐肇殴麋鑁�がなく、体への影響がない
4.エコーガイド硬膜外ブロックの目的
脊椎の中の硬膜外腔に局所麻酔薬や副腎皮質ステロイドを注射することで神経の炎症を抑え、痛みを感じる神経をブロックすることで痛みを軽減させる硬膜外ブロックは、さらに超音波を使用することで注射部位を可視化し、他の組織を刺激することなくピンポイントで注射を行うことが可能となり、さらに効果が期待できます。
5.エコーガイド硬膜外ブロックの長所
硬膜外ブロック施行前、又は、施行中も、エコーで針をどのように進めるか、いかに安全に針先を神経近くまでアプローチさせるかを検討することで、効果・確実性・安全性がさらに向上します。
�＾汰汗�の向上⇒超音波を使用することで血管などの重要な組織を避け、正しい位置に針を刺すことが可能になります。
��効果の向上⇒薬剤が目的の部位に確実に到達するか、またその広がりをリアルタイムで確認しながら注射できるため、治療効果が高まります。
��正確なターゲット特定⇒神経の走行や針の先端がどの位置にあるかを視覚的に確認しながら進められます。
6.当院独自の“痛くない治療”を目指し高度な特殊技術を提供当院では「痛くない治療」を目指し、硬膜外ブロックについては、硬膜外ブロックの注射針を22ゲージ(採血くらいの細さ)から27ゲージ(予防接種くらいの細さ)に細くすることに10年以上前に成功しています。その上、このどこよりも細い注射針で、最先端技術である超音波を使って硬膜外ブロックをすることにより、当院の硬膜外ブロックは、さらに
「�＾多粥蔽躰与砲鮖匹皇砲澆�少なくなり安心して受けれる）」
「��安全(組織障害や出血が少なくなり安全性が向上)」
「�Ｂ�く(直前の局所麻酔がなくなり2工程が1工程になり速くなった)」になりました。当院のエコーガイド硬膜外ブロックは、高度な技術と経験を有する治療で、当院ならではの治療と自負しています。 “痛くない治療”を心がけ“注射が苦手”“注射が痛くて怖い”という方も当院の治療なら、安心して受けて頂けます。
新しい睡眠薬「オレキシン受容体拮抗薬」について
オレキシン受容体拮抗薬のオレキシンとは脳の視床下部で作られる神経伝達物質の一種です。その働きは、脳を「起きている状態（覚醒）」に保つことです。オレキシン受容体拮抗薬はこのオレキシンの働きをブロックすることで、脳を興奮状態から鎮め、自然な眠気を導きます。
少し前まで不眠症治療によく使われていたベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、しっかりとした効果が期待できる一方で、筋弛緩作用によるふらつき・転倒のリスクや、薬をやめにくくなる依存の副作用がありました。
これらの薬と作用機序の異なるオレキシン受容体拮抗薬では、筋弛緩作用によるふらつきがなく、現時点では依存性がないとされています。
これまで日本で承認されているオレキシン受容体拮抗薬は、ベルソムラ（一般名：スボレキサント、2014年発売）と、デエビゴ（一般名：レンボレキサント、2020年発売）の2種類でした。そこに2024年、クービビック(一般名：ダリドレキサント)が加わりました。この3剤の最高血中濃度到達時間と半減期は下記になります。
○クービビック：
最高血中濃度到達時間 約1.0時間、半減期 約6.6時間
○デエビゴ ：
最高血中濃度到達時間 約1.5時間、半減期 約47.4時間
○ベルソムラ ：
最高血中濃度到達時間 約1.5時間、半減期 約10時間
翌朝の持ち越しを避けたい方は半減期が最も短いクービビックが第一候補と考えます。寝つきだけでなく朝までのしっかりした長い効果を期待したい方はデエビゴがいいかもしれません。マイルドな薬にしたい方はベルソムラもいいでしょう。
2025年11月27日、日本で4剤目のオレキシン受容体拮抗薬となるボルズィ（一般名：ボルノレキサント）が発売されました。ボルズィは最高血中濃度到達時間 約0.5時間、半減期 約2.13時間と、速やかな吸収と短い半減期が特徴となっています。寝つきが悪く、翌朝の眠気が心配な方には適しており、中途覚醒や早朝覚醒でお困りの方には他の薬がいいかもしれません。
オレキシン受容体拮抗薬の選択肢が増えました。
お困りの不眠症状に合わせてお使いいただくとより症状の改善が期待できると思います。
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- 通信vol．66「頚部神経節ブロックの症例（突発性難聴、うなだれ首）について」「症状○○はどんなとき強まりますか？の応用編〜口・歯・舌痛編〜」」
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- 通信vol．65「頚部神経節ブロックについて」「症状○○はどんなとき強まりますか？」
- (2017/03/02)
- 通信vol．64「新年のご挨拶」「院長インタビュー〜覚悟の瞬間〜」「アサーション」
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- 通信vol．63「院長インタビュー〜覚悟の瞬間（インタビューサイト）〜」「運動療法〜痛みの治療編〜」「慢性疼痛とパニックの共通点」
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- 通信vol．62「リニューアルオープン！拡張しました！」「リハビリ部門の拡張〜運動療法新設〜」「健康365（10月号）当院記事掲載」「パニック障害の治療法〜行動療法と認知療法〜」
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- 通信vol．56(「かわたペインクリニックの取り組み〜�て端譴閉砲澆亮Ｎ邸繊廖◆峭堝伊椣未旅佑�方」)
- (2015/09/05)
- 通信vol．55(「かわたペインクリニックの取り組み〜�４擬塒預莪貅腟繊繊廖◆崢砲澆粒稜Ч坩戞�)
- (2015/07/01)
- 通信vol．54(「かわたペインクリニックの取り組み〜�⊆Ｎ妬圈繊廖◆崋Ｎ展�果が上がりやすい痛みの考え方」)
- (2015/05/06)
- 通信vol．53(「かわたペインクリニックの取り組み〜�ゝ蚕冓圈繊廖◆屬△覆燭猟砲澆帽△里弔�えはないですか？」)
- (2015/03/02)
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- 通信vol．50(「腰痛の最新治療�，砲弔い董廖◆崢砲澆離瓮�ニズムと痛みの治療薬について」)
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- 通信vol.37(「頭痛の症例」「痛み測定器ペインビジョン」「抗うつ薬のお話」)
- (2012/07/12)
- 通信vol.36(「かかと痛の症例」「心療内科の薬について」)
- (2012/05/09)
- 通信vol.35(「花粉症の症例」「心理検査」「足底板」)
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- 通信vol.34(「自律神経失調症と冷え症の症例」「社交不安障害」)
- (2012/01/11)
- 通信vol.33(「顔面痛(歯口顔舌の痛み)症例」「睡眠のトラブルでお悩みの方へ」)
- (2011/11/09)
- 通信vol.32(「頚椎症・肩こり症例」「原因不明の痛み、歯・口・顔の痛み」)
- (2011/08/31)
- 通信vol.31(「腰痛症例」「心療内科の心理療法・手技療法の紹介」)
- (2011/07/07)
- 通信vol.30(「帯状疱疹後神経痛の症例」「心療内科の診察室と診察時間の拡充」「トリガーポイント注射」）
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- 通信vol.29（「術後疼痛」「かかと痛」）
- (2011/03/09)
- 通信vol.28（「花粉症�◆廖嵜肝兎皺覆凌翰�療法」）
- (2011/01/13)
- 通信vol.27（「帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛�◆廖屬Δ追臓廖法�
- (2010/12/01)
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- (2010/09/30)
- 通信vol.25（「関節内注射」）
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- 通信vol.24（「不眠症」）
- (2010/05/27)
- 通信vol.23（「星状神経節ブロック」「ストレスと病気」）
- (2010/03/03)
- 通信vol.22（「ペインクリニックと心の治療」）
- (2010/01/15)
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- (2009/11/30)
- 通信vol.20（「肋間神経痛」）
- (2009/11/06)
- 通信vol.19（「トリガーポイント注射」）
- (2009/09/01)
- 通信vol.17（「アレルギー疾患」）
- (2009/03/10)
