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症例1 帯状疱疹後神経痛

■帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛とは?
 神経に沿い帯状に発疹・水泡がでる帯状疱疹(日本人の6人に1人がかかると言われる)はストレス等で免疫力が低下した時に、子どもの時にかかった水疱瘡のウィルスが活発になって発症します。
 症状が長引いた場合や高齢者の場合は、皮膚症状が治った後も帯状疱疹後神経痛として慢性の痛みが数年から一生続くことがあります。
 帯状疱疹後神経痛は激痛(焼けるような痛みや電気が走るような痛み)が持続する難治性疼痛の一つと言われ、外傷が見られないため周囲に痛みが理解されず、患者のQOL(生活の質)は大きく低下します。帯状疱疹後神経痛にならないためには、早期発見・早期治療が大切です。

■帯状疱疹の治療
 帯状疱疹の治療では、抗ウィルス剤を用いた治療とともに神経ブロック療法を行い、急性期から痛みを十分にコントロールすることが重要です。
 局所麻酔薬で一時的に神経を休ませ、痛みの悪循環を遮断する神経ブロック療法は、発疹や水泡の治癒を早め、帯状疱疹後神経痛への移行を防止するのに非常に有効です。
 神経損傷によって帯状疱疹後神経痛にいたると痛みの除去が困難であるため、帯状疱疹発症後、2週間~1カ月以内に神経ブロック療法を開始すれば帯状疱疹後神経痛への移行を防ぐことができます。
①出来るだけ早期に治療を開始する。
② 抗ウィルス薬・痛み止めを服用しウィルス増加と痛みを抑える。
③ 同時に初期に神経ブロック療法を行い、帯状疱疹の痛みを取り、回復を早め、帯状疱疹後神経痛になるのを防ぐ。

■帯状疱疹後神経痛の最新治療
帯状疱疹後神経痛の従来の治療法は、抗うつ薬鎮痛剤神経ブロック療法レーザー治療イオントフォレーシス鍼灸治療など、人によって違う症状や程度に合わせ治療法をきめ細かく選択して行われます。
①神経ブロック療法
【星状神経節ブロック】
顔・頭・手の帯状疱疹には星状神経節ブロックを行います。
血の巡りがよくなり痛みがらくになります。
【硬膜外ブロック】
脊髄の周りの硬膜外という所に局所麻酔薬を注入する硬膜外ブロックは、神経を一時的にしびれさせて痛みをとるので、 首から足の先まで体のどこにできた帯状疱疹の痛みにも効果的です。
②理学療法
レーザー照射、温熱療法、電気刺激療法、イオントフォレーシス等
③薬物療法
鎮痛薬・抗うつ薬・抗けいれん薬・漢方薬などの内服、局所麻酔薬配合の塗り薬などで治療します。最近では、効果の期待出来る新薬が続々と承認されております。
“最新の薬物療法”
 ?最近、承認された新薬「リリカ」は、従来の鎮痛薬とは全く異なる新しい作用の薬剤で、既存の治療法で痛みを取りきれない場合にも大きな効果が期待できます。帯状疱疹後神経痛は、脳内の痛みを伝える神経伝達物質の過剰放出によって疼痛が引き起こされており、「リリカ」はこの過剰に興奮した神経伝達物質の放出を抑制し大きな鎮痛作用を発揮します。
 ?2011年4月に承認された「トラムセット配合錠」は、非オピオイド鎮痛薬で治療困難な非癌性慢性疼痛や抜歯後疼痛に適応があり、患者様のQOL向上に貢献できる薬剤として期待されています。国内長期投与試験では、鎮痛効果が52週まで持続し、長期にわたる疼痛コントロールの維持が可能であることが確認されています。
 ?「ノルスパンテープ」は、貼付タイプの経皮吸収型の持続性疼痛治療剤で、「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な変形性関節症および腰痛症に伴う慢性疼痛における鎮痛」を効能・効果とする薬剤です。

■帯状疱疹後神経痛の日常の注意点
 これらの治療でも痛みを取り除くことが難しい場合もあります。気長に治療すること、むしろ痛みを受け入れて、痛みと上手につきあって生活していくことも大切です(下記参照)。
①入浴がお勧め!
 体を温めましょう。体を温めることで、血行をよくして痛みを和らげる。
②散歩がお勧め!
 筋肉が萎縮しないように、適度な運動を心がけましょう。
③趣味を持ちましょう!
 積極的に取り組めるものを作りましょう。痛み以外のことに気が向くようにする。

■「帯状疱疹後神経痛」の症例1
①来院までの経緯 (64歳 女性)
 左腹部にヘルペスが発症し、皮膚科で帯状疱疹と診断された。薬の処方で湿疹と痛みが一旦無くなったが、1週間後再び痛みが激しくなり帯状疱疹後神経痛と診断され皮膚科の紹介で当院を受診された。
②治療経過
 初診時は、帯状疱疹後神経痛による刺し込むような痛みが数分感覚で起こり、その度に痛みをこらえる動作をし「夜も眠れなく生きているのが辛い」と訴えられていました。飲み薬と塗り薬以外に硬膜外神経ブロック注射を週1回実施し、治療をする度に痛みは軽快していき、約1ヶ月治療を行った時点で、ほとんど痛みを感じなくなったと喜んで頂きました。
③考察
 帯状疱疹発症から出来るだけ早期に神経ブロック治療を行えば痛みが軽くなるだけでなく、後遺症の神経痛に移行するのも防げるので、早期受診して頂くことが重要となります。

■「帯状疱疹後神経痛」の症例2
①来院までの経緯 (72歳 男性)
 右背部の発疹を虫刺されと思い放置していたが痒みと同時に痛みがあったため、皮膚科を受診し帯状疱疹と診断され、薬で湿疹も痛みも無くなった。1年後右背部~脇下に体を動かすと激痛が走るため、整形外科や神経内科を転々とした末、皮膚科で帯状疱疹後神経痛と判明した。今まで鎮痛薬を処方されたが、痛みは全く治まらず、悲痛な思いで、1年前、ご家族がインターネットで調べ来院された。
②治療経過
 初診時は注射に少し抵抗があるとのことでイオントフォレーシスと同時にレーザー治療を行い抗うつ薬を処方しました。しかし、刺し込むような激痛が治まらず硬膜外神経ブロックを開始し週1回継続して行い、痛みが飛躍的に軽快し日常生活に支障の無い程度にまで回復されました。又、来院後に認可された帯状疱疹後神経痛に画期的効果を示す脳に働きかける新薬を従来治療に加え処方し、症状がより緩和されました。
③考察
 慢性化した帯状疱疹後神経痛は難治性であり、症状や程度により、抗うつ・抗不安薬・イオントフォレーシス・神経ブロック・レーザー・鍼灸治療など様々な治療をきめ細かく組合せ実施する必要があります。又、痛みが継続的に脳に発信され神経が変調して起こる病気なので受診科が判断しにくく、鎮痛剤が効かないため他科を転々として当院に辿りつかれる場合が多い。

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